『TOKYO TRIBE』★★★☆☆

最悪の改変と作り込まれた世界観


井上三太による漫画『TOKYO TRIBE2』を『冷たい熱帯魚』で有名な園子温が監督し実写化された作品。


原作はいわゆるストリートギャング物で、架空の都市「トーキョー」を舞台にギャング同士の血を血で洗う凄惨な愛憎劇が描かれ


癖になる独特の絵柄と、アメリカのストリートを感じさせる世界観にコアな人気の高い漫画シリーズでした。


そんな異色の漫画を実写化した園子温版『TOKYO TRIBE』はどうかと言うと


とにかくとんでもない作品でした。

鈴木亮平やら窪塚洋介やらが出演していて、パッと見「俳優に力を入れているんだなぁ」くらいの気持ちだったのですが、まさかの主演がラッパー。


とは言え、主演のYOUNG DAISはこの後、様々な映画に出演し着々と演技力をあげていきますし本作でもそこまで違和感はありません。



だってこの作品はラップミュージカル映画だから。



もうとにかく色んな場面でラップをぶち込んできます、むしろ終盤の最終決戦だってラップのついでみたいなところがあります。


アクション系の映画だと思っていると肩透かしな部分もありますが、世界観的に決して外れたものではなく、むしろマッチしています。


いや、もう本当に世界観の作り込みは素晴らしいです。


どこもかしこもギラギラした配色のファッションと小物の数々は、上手く言葉に出来ないですがネオンのような街並みを人にも落とし込んでいるように感じました。

正直、世界観だけで言えば原作以上に原作の世界観を再現しているようにさえ感じられるほどで、その点に関してはとても素晴らしい実写化だと思います。


でも、嫌いなのは原作からの改変部分にあります。


まず言っておきたいのですが、実写化作品においてオリジナルストーリーとか設定の変更とかオリジナルキャラの登場とか性別の変更とか


その辺りの部分は個人的にオッケーだと僕は思っています。


原作を完全に再現するなら原作見ればいいわけですし、原作を下敷きにしながらも1つの映画として作品の面白さに繋がっていれば、設定の変更はどんどん加えるべきだと考えています。


なので「原作からここが変わってからクソ!」と言う意見は言わないつもりですが、本作は原作から変わった部分がクソです。


物語の根幹部分にある「敵役がなぜ主人公をつけ狙うのか」と言う設定。


原作にはそこに双方の大きなすれ違いによる悲しい理由があるのですが、本作ではまさかのギャグオチ。


もう既にかなりのネタバレになってしまって申し訳ないので、その理由を知りたい人は本作を観て欲しいのですが、感覚的には「園子温の悪ふざけが重要な部分に使われた」以上の想いが出てきませんでした。


作り込まれた世界観もラストで急に現実に引き戻された気がして少しげんなり。


世界観満点、ラスト0点で総合評価50点みたいな作品です。

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